「引き寄せの法則」研究所

書評・レビュー:『確実に金持ちになる「引き寄せの法則」』ウォレス・ワトルズ、川島和正監訳(三笠書房)

ウォレス・ワトルズによる1910年に出版された著作です。

原題は、『THE SCIENCE OF GETTING RICH』となっています。

すでに著作権が切れているためか、原文はコチラでダウンロードできるようです。

「引き寄せの法則」に関わる著作の多くは、様々な願望の実現に向けて書かれていますが、本書は基本的に「金持ちになる」ということにフォーカスされた内容になっています。

なお引用については、特別に記してある以外、『確実に金持ちになる「引き寄せの法則」』ウォレス・ワトルズ、川島和正監訳(三笠書房)によっています。

 

「はじめに」の章について

本書で展開される説明の前提となっている「宇宙一元論」について語られている章です。

一元論というのは、一般的には、「世界のあらゆることは、ただ一つの実体、あるいは、ただ一つの原理から説明できる」とするような考え方のことです。

例えばスピノザは、すべてのことを神の行い、あるいはその表れとして説明しようとしています。

著者であるワトルズによる説明は、以下のようになっています。

これは、「1つは万物、万物は1つ」(すべてのものは、あるたった1つの物質からできている。物質界にある様々な元素は、ある1つの物質が形を変えただけのものである)という考え方です。P8

こうした考えに基づいたもので「引き寄せの法則」の関連書籍でよく見られる解釈としては、「すべては一つのものから生じたものであるから、どんなものでも自分に値しないものはなく、必ず手に入れられる」というものがあります。

また、「ある人とその人の望むものも結局は同じものであるため、望むものをイメージすれば同じ波動が発せられ、互いに引き寄せられる」などと言われることもあるようです。

なお、一元論と親和性の高い考えに、物理学の「超ひも理論(超弦理論)」があります。

超ひも理論とは、物質を構成する光子や電子などの粒子が、超ひもと呼ばれる一つの物質からできていると考えるものです。

ただし、これはあくまで仮説の段階の話であり、また、「引き寄せの法則」が想定するような「考えることが物質に影響を与える」という点などは、主張も確認もされていないものと思います。

 

「第1の秘密 あなたには「金持ちになる権利」がある」の章について

ここでは、そもそも生命には向上するという目的があり、それは金持ちになることも含まれているということが主張されています。

「生きとし生けるものは繁栄を目指すので、人間もまた繁栄のために金持ちになろうとするのは当然だ」という話です。

すでに書いたとおり「引き寄せの法則」の説明においては、力を発揮させるために、「どんなに価値のあるものであっても、あなたはその望むところのものに値するのだ」ということを信じさせようとする傾向があります。

本書のテーマは「金持ちになること」ですから、まず最初の章で、「豊かであることは当然なのだ」というイメージを頭に刻みつけようとしているのでしょう。

金持ちになりたいということは、もっと抽象的に言えば、パワーが欲しいということです。

弱くあるよりも強いことを望むのは、確かに普通のことと言えるでしょう。

本章には、「貪欲さを避ける」といった考えや「お金は汚い」というイメージを否定しようとする意味合いもあるのかもしれません。

 

「第2の秘密 世の中には「確実に金持ちになる法則」がある」の章について

特別な能力も要らず、誰でも金持ちになれる確実な方法があるとされています。

そしてそれを、「完璧な科学」であるとまで主張しています。

しかし、「科学」と呼ぶのは、さすがに無理があるように思えます。

なぜ「科学」などと主張しだすかと言えば、そこには一神教的なバックボーンがあるからだと思われます。

西洋では、一定の法則が成り立つときには、そこに「神」の意志を見るということがなされてきました。

何らかの法則性が見出された場合に、その法則を作ったのは「神」だと考えるということです。

本書で展開されている内容は、富の法則として、そのような普遍性を備えていると著者は主張しており、だから、「科学」なのだと言いたいのでしょう。

しかし、現代では、誰が何度試しても同じ結果になるものが「科学」と呼ばれると考えるのが普通です。

読み進めれば分かりますが、本書の主張には、「一生懸命にやる」などというような主観的な話が多く登場しています。

そうした部分については、そもそも書かれているとおりに実践されているかどうかを客観的に判定することすら難しいように思われる訳です。

つまりは、自称「科学」ということになろうかと思われますが、その具体的な内容については、次章以降で説明がなされていきます。

 

「第3の秘密 世の中には「無限のお金」がある」の章について

本章では、冒頭で出てきた「宇宙一元論」の考えが展開されています。

「すべての物質のもとになるのは、ただ一つの「形のない物質」であり、それは知性を持ち、繁栄を望んでいる」とされています。

しかし、なぜそうなのかについての説明はありません。

要するに、「ただ、そうなのだと信じなさい」ということを言っているようです。

本書で展開されている「宇宙一元論」の元になっているのは、いわゆるニューソートの思想と思われます。

ニューソートというのは、すべてが一つのものから生まれるとし、それを神と考えるようなもので、キリスト教から生まれた信仰です。

つまりニューソートでは、神を人格のようなものとは考えず、人間の考えを反映する根源的な物質と見る訳です。

ここで展開されている内容も、一種の信仰を前提としているようです。

ニューソートについては、コチラに関連図書のレビュー記事があります。

 

「第4の秘密 金持ちになるための「基本原則」」の章について

万物はただ一つの物質から作られているという、「宇宙一元論」に基いて、願望を現実化する方法が書かれています。

「すべてのものの元になっているのは、「形のない物質」であり、それは思考するのだ」とされています。

同時に、この「形のない物質」は人間の思考を受け取って、物質化してくれると主張されています。

現実化の順序としては、あまねく存在している「形のない物質」に対して人間から考えを伝えると、「形のない物質」もまたその考えを抱くようになり、現実化するという流れのようです。

もちろん、これはまったく想像であって、正しいと思うかどうかは、根拠となる宇宙一元論を信じるかどうかに掛かっています。

そして、本書はそれを信じよと主張しており、そのうえ無条件でそうせよと言っている訳です。

しかし、当然のことながら、何かを信じるということは、「信じよう」と思ってするようなことではないため、その点はさすがに無理があると言わざるを得ません。

 

「第5の秘密 金持ちになるための「考え方」」の章について

誰でもが金持ちになり、繁栄することは「神」の意志だというのが本章の主張です。

人間が能力などを拡大させ、繁栄していこうとする力に支えられている存在だというのは、間違いがない点でしょう。

いわゆる、ニーチェが言うところの「力への意志」です。

これについては、「人間が遺伝や進化によって受け継いできたもの」という考え方から見ると分かりやすいように思います。

まず、確認すべきこととして、次のようなことがあります。

  1. 人間は、自らの能力を拡大させようとする衝動を持っている。
  2. なぜなら、それを持っているものだけが、生き延びてきたから。
  3. 同時に、他の人間のためになることをしたいという衝動も持っている。
  4. 理由は2と同様。

人間が自らの能力を拡大させ、かつ周囲の人間と協力をして、いままで生き延びてきたということは紛れもない事実です。

ですから例外あるとは言え、基本的には、繁栄や協力に喜びを感じる性質を持った個体が現に生きている訳です。

こう考えれば、能力を拡大させ、他の人間と協力しようと意図するときに、もっとも大きな力が発揮されると考えるのも、おかしな話ではないと思われます。

著者は「神」の概念を持ちだしていますが、以上のように進化や遺伝の結果として見れば、拡大が運命づけられていることも、競争を志向すべきでないことも簡単に説明がつきます。

つまり、ここで主張されている内容は、進化論的な見方が一般的でなかった頃の世界観に思えるということです。

 

「第6の秘密 「「無限のお金」が生み出される仕組み」の章について

ここでは、すべての人にもらった以上のものを与え、繁栄をイメージすることが重要だと主張されています。

本書が前提としているのは「すべては一つの物質から成っている」という考えです。

ですから、それぞれの人間の中にも「形のない物質」すなわち「神」がいることになります。

そこから、「繁栄するのは「神」の意志である」という話が展開されている訳です。

この点については、前章でも書いたような進化による解釈から見ることもできます。

つまり、「繁栄を望むのは、遺伝子にそう書かれているからであり、なぜそのように書かれているかと言えば、繁栄を望む個体こそが生き延びてきたからだ」ということになります。

 

「第7の秘密 お金を引き寄せる「感謝の法則」」の章について

感謝することの重要性は、多くの「引き寄せの法則」関連書籍で説かれるところですが、本書でも主張されています。

感謝をすると、「多くを受け取っている、豊かだ」という思いが作られ、それが「形のない物質」すなわち「神」に伝わり、結果として豊かさがもたらされる、ということのようです。

本書の主張ではそうなりますが、では「引き寄せの法則」を無意識の活用と解釈します。

その観点からは、「豊かさをイメージすれば無意識に刷り込みが行われ、その状態を当然のことと見なして、目標へ至る道を脳が自動的に探し始める」と考えることができます。

本章のポイントとなっているのは、一体化という言葉にあるように思われます。

なぜなら、宇宙一元論的な信仰を持っている人間からすると、一体化ということが自己肯定的な安心感をもたらし、それが感謝の想起を繰り返す原動力になるだろうからです。

あいていに言えば、もし「形のない物質」への信仰を持つことが可能ならば、その方が手っ取り早いということになる訳です。

 

「第8の秘密 お金を引き寄せる「イメージ・決意・信念の法則」」の章について

いわゆる、ビジュアライゼーションの重要性と、そのやり方について書かれています。

全体としては、「ビジュアライゼーションと、決意・信念がもたらすプラスの感情が願望実現への鍵だ」という主張と解釈できます。

当研究所の立場から見れば、ビジュアライゼーションについてもまた、無意識への働きかけと解釈することができます。

無意識は感情の源泉ですから、無意識への情報の刷り込みを行うには感情が重要であり、この点も本章の内容と合致します。

いずれにせよ、信念の形成がポイントであって、そのためには願望が実現したときのプラスの感情を呼び覚まし、それに親しむことが重要だということになるでしょう。

ただし、明確さについては議論のあるところです。

ヒックス夫妻版の「引き寄せの法則」でも主張されているとおり、イメージできないことによってマイナスの感情を抱いてしまうのならば、過度の明確化は避けるべきだと言えます。

 

「第9の秘密 お金を引き寄せる「意志の法則」」の章について

「何を見ようとするかという意志が何より重要だ」という内容の章です。

「引き寄せの法則」が活用できるかどうかは、言ってみれば、何に意識を集中させるかだけに掛かっています。

もちろん感情の動きも重要ですが、そのコントロールは、意識を向ける対象によるとも言えるからです。

貧しさに目を向け、不快な思いを抱き続ければ、それが起こるという現実化のプロセスが動き始めてしまいます。

また、人に対して「ああして欲しい」「こうならないだろうか」と思うことは、「自分の力だけでは幸せになれない」ということを自分自身に言っているのと同じです。

逆に、自分の価値を信じることができれば、そのことが知らず知らずのうちに周囲に伝わり、無意識的な協力を引き出すことができるのです。

著者であるワトルズは、本章でも一神教的な宇宙一元論に基づいて語っている訳ですが、「無意識」という言葉を使っており、その点が興味深いところです。

つまり、「神」について語っていながら、「無意識」の効果であると感じているように見えるということです。

 

「第10の秘密 お金を引き寄せる「創造の法則」」の章について

「競争ではなく創造が重要」という対比が出てきますが、これが具体的に何を意味するかについては語られていません。

一般的に解釈するとすれば、創意工夫によって生産性を上げるようなことでしょうか。

働くというと、どうしても「汗水たらして一生懸命に」というイメージがあるだろうと思います。

しかし、懸命さが不可欠だという場合は、創造性が欠けているということがしばしばです。

つまり、そうしたイメージの仕事の大方は、「多くの人がやっている通りにやる」「人に言われた通りにやる」という類いのものだということです。

それは取りも直さず、「競争のレベル」に留まることを意味しています。

一方、「こうあるべき」「こうでなければおかしい」というような考えを元に、根本的な改良を加えていくことが「創造のレベル」にあることだと考えることができます。

しかし、このことは「引き寄せの法則」や「神」などには関係のない、単なる一般論だとも言えるでしょう。

 

「第11の秘密 「確実に金持ちになる法則」を実践する方法」の章について

思考だけでなく、行動も大事という説明がなされている章です。

少々意地悪く言うとすれば、これまで言われたとおりにすれば、つまり良いイメージを持って全力で働けば、たしかに金持ちになる確率は上がるだろう、という感じはします。

また、「金持ちになれるほどの人物であるならば、日常的な業務などは楽々とこなせるのでなければおかしい」というようにも考えられます。

とは言え、「いまの仕事に全力を注げ」というだけでは、単なる一般的なアドバイスにすぎないというようにも言えそうです。

実際のところ重要なのは、「そもそも全力を注ぐ気になるかどうか」という点ではないでしょうか。

そういう意味では、「全力を注ごう」とわざわざ考えなければならない時点で、前段としてなされるべきマインドセットがうまくいっていない状態だとも言えるかもしれません。

いずれにせよ、「思っているだけでは成功できない」というのは、「引き寄せの法則」への批判としてよく言われるところです。

しかし、そもそも行動が引き起こされないというのは、「引き寄せの法則」が利用できていないということの証拠そのものと言えるものとも考えます。

逆に言うなら、自ずと行動してしまうように変わってしまうというのが、「引き寄せの法則」の正しい効果だということです。

実のところ、本当に注意しなければならないのは、中途半端な行動の方です。

なぜならば、懸命に行動することで「自分は先に進めている」と勘違いすることが少なくないからです。

おそらく、意識で問題を解決をしようとするのは、「引き寄せの法則」の範疇の話ではありません。

当研究所は、懸命さが必要とする本書やアトキンソンの主張よりも、流れに任せるとするヒックスバーンの主張を支持します。

より詳しく言うとすれば、「無意識的な信念の形成は意識的に行うが、それ以外は流れに従う」ということです。

 

「第12の秘密 効率的に「確実に金持ちになる方法」を実践する方法」の章について

重要なのは、仕事をいかに効率的に行うかであるとの主張がなされている章です。

前々章で、「競争ではなく創造」とするときの「創造」とは、例えば「生産性を高めるようなこと」かと書きました。

本章の「効率的であることが重要」とする本章の内容から、それは正しかったように思われます。

ただし、「効率を上げるためには、行動に力を注ぐだけで良い」とする主張には疑問を感じざるを得ません。

その主張の前には、「神はいつでも、あなたのために働いてくれます」とあることから、この部分は単なる信仰告白にすぎないようです。

「力を注ぎさえすれば、神が良いようにしてくれる」というのでは、納得するのは、一神教的な世界観を信じている人間だけでしょう。

そもそも「力を注ぐ」というのが、かなり曖昧な表現です。

おそらくは、「万物の元であり、神である「思考する物質」が、本来的に繁栄を求めているのだから、自ずと効率的になるのだ」ということを言っているのだと思われます。

しかし、人はしばしば、一生懸命に非効率な仕事をしてしまいます。

なぜなら、人間は本来的に危険を避ける傾向が強く、現状を維持しようとする力は強烈だからです。

つまり、新しいことをして失敗したり怒られたりすることは嫌だと感じて、いまのままの仕事を続けようとする訳です。

ただ、一生懸命に非生産的なことをし続けると、どこかで完全に嫌気が差して生産的になるように頭を働かせ始める、ということはあるかもしれません。

 

「第13の秘密 自分の好きな仕事で金持ちになる方法」の章について

実際にどういう仕事にどうやって携わるかにおいてのアドバイスが書かれた章となっています。

能力を「正しく」生かすことが重要とされていますが、何をもって正しいと見るのかは、残念ながら不明です。

本章で語られていることは、全体として、一般的なアドバイスにすぎないように思えます。

また、「できないことは願望がわくことすらないから、やりたいことはできる」というのは、かなり乱暴な理屈です。

実際には、社会的な価値に引きずられて、本当にやりたい訳ではない願望に振り回されることもあります。

例えば、文学賞を獲りたい小説家志望の人は、ただ多くの人に認められている分かりやすい栄誉が欲しいだけで、本当に小説家になりたい訳ではないのかもしれません。

要するに、「やりたい」ということにも、本物と偽物があるということです。

偽物の願望には、すでに書いたように名声を求めているだけの場合もあれば、他にも、現実から逃げたいだけの場合もあるでしょう。

あるいは、そういうものは本当の「やりたい」ではないから、最初から除外されているということなのかもしれません。

いずれにせよ、「急ぐ必要はない」と言われていることには同意ができます。

なぜなら、きちんとしたマインドセットができてしまえば、さほど思いきらなくとも、自然と「そちらに進むのが当たり前」な心持ちになるからです。

 

「第14の秘密 人を惹き付けて金持ちになる方法」の章について

繁栄のイメージをはっきりと抱いていれば、周囲に伝わっていき、それが物事をうまくいかせるといった内容の章です。

この章は、「引き寄せの法則」を無意識的な心の効果と見る当研究所の主張と親和性の高い内容となっています。

この章でも否定されているように、相手を支配しようとすると、そのことが無意識的に相手に伝わり反発を受けます。

また、人を動かす際には、誰の心にもある気持ちに訴えかけるのが効果的です。

しかし、多少意識することは大事かもしれませんが、基本的には無意識的に自然と伝わると考えた方が良いだろうと思われます。

「引き寄せの法則」は、「気分が上がるイメージを抱くことで自らを活性化させ、相手にもそれが伝わって自ずと影響を与えてしまう」というものだと解釈できます。

その際には、できるだけ多くの人がプラスのイメージを持つものであることが、影響を与えやすいという意味では、有利と言えば有利です。

繁栄は、あらゆる生き物が持つ根本的な欲求ですから、自分の中に十分に刻み込まれていれば自ずとそれが伝わり、たくさんの協力者を引き寄せられることが期待できるからです。

 

「第15の秘密 どんな状況であっても金持ちになる方法」の章について

残る2章を前に、全体をまとめたような内容になっています。

「確実な方法」には間違いがない、という内容になっています。

ここでは「数学的真理」とされていますが、おそらく、「人間的真理」と言った方が当たっているでしょう。

しかも、極めて人間的な真理です。

言ってみれば人間というのは、自らのイメージに支配され、周囲の人間もそれに強く影響されており、そうであらざるを得ない生き物なのです。

例えば、一般的に言って親が商売をやっている家の子供は、自分でお金を稼ぐことに対する心理的障壁は低いでしょう。

少なくとも、サラリーマンの家の子よりは、です。

なぜなら、自分でお金を稼ぐことを「当たり前」だと感じているからです。

逆に言うなら、何を「当然」と思うかで人生が決まるということになります。

本書で語られている「確実な方法」とは、その「当然」を作り変えるための手順だとも言えそうです。

 

「第16の秘密 必ず注意しておくべきポイント」の章について

「確実な方法」を実践する際の注意事項が列挙されている章です。

しかし、「引き寄せの法則」の立場からすると、そのこと自体が微妙な企てと言わざるを得ません。

なぜかと言えば、無意識は否定形を理解しないというのが、多くの「引き寄せの法則」の本に書かれている基本的な教えだからです。

残念ながら、本章の注意事項の多くが否定形で書かれています。

しかし、「失望してはならない」とあまり考え過ぎると、「失望」を引き寄せてしまうとするのが、「引き寄せの法則」の考え方です。

本章の内容を何度もイメージする人は少ないかとは思いますが、メタレベルの注意事項として、いちおう記しておきます。

あるいは、「失望してはならない」と注意するより、「失望を覚えるようでは、まだ方法の実践が足りない」と諭すべきかとも思われます。

もしかすると、大した違いではないと感じる人もいるかもしれませんが、決してそうではないということです。

 

「第17の秘密 「確実に金持ちになる法則」のまとめ」の章について

全体のまとめの章です。

万物は「思考する物質」により構成され、人間が思考を投影すれば、その物質もまた思考することで現実化がなされること、競争から想像のレベルに自らを引き上げるのが重要であることなどが、再度、主張されています。

イメージの鮮明さ、決意と信念の固さ、感謝の深さが、どれだけ受け取れるかのポイントだされていますので、その点について検討してみましょう。

イメージを鮮明にしようとするのを重視するあまり、詳しいところがイメージできないことでマイナスの感情になるようでは本末転倒だという点については、すでに書いたとおりです。

決意と信念の固さについては、ある瞬間に強く思うような話ではなく、繰り返しによって鍛えていくというイメージの方が良いだろうと思います。

つまり、この著書でも主張され、例えばワトルズの著書においてもそういう傾向がありますが、必ずしも「強く念ずることが重要」という訳ではないという話です。

「引き寄せの法則」はおそらく心掛けの問題ではなく、ものの見方についての訓練であり、それによって脳の回路を変えていくような話だと思われます。

意識を何に向けるかを少しずつ変えていき、積極的、肯定的な心の態度を得て、能力を底上げするような目論見だということです。

その際の原動力になるのが、感謝の念であると捉えることができます。

その意味では、瞬間的に抱く固い決意などには、さほど大きな意味はありません。

その辺りが、すでに信仰を得て、そこから語っているワトルズにはあまり理解されていないように感じられます。

 

解題

各章で、それなりに考察を加えてきましたが、少し補足をしておきます。

「引き寄せの法則」を原文の英語で表記すれば、「The law of attraction」となります。

しかし、本書の原文を当たっても、「The law of attraction」はおろか、「attraction」という言葉すら出てきません。

実際、著者が本書に記しているのは、直接的には、「金持ちになるための科学(The science of getting rich)」についてであって、「引き寄せの法則(The law of attraction)」についてではないのです。

「attract」という単語も、「人を惹きつける」という意味合いで、数回程度、登場するだけです。

つまり、「引き寄せの法則」という言葉は、翻訳者が挿入したものだということになります。

例えば、本文中の「the law of wealth(富の法則)」を「引き寄せの法則」と言い換えたりなどしています。

このように、著者が「引き寄せの法則」を積極的に打ち出して著した本ではないという点については、こまかい話ではありますが、いちおう指摘しておきたいと思います。

ただし、本書の内容は、いわゆる「引き寄せの法則」と呼ばれる思想の重要なポイントを含んでいます。

具体的には、以下のようなものです。

  1. イメージを感情とセットで何度も抱くことが重要。
  2. そうするとイメージしたものが現実化する。
  3. 感情の中でも感謝が特に強力。
  4. 受け取れるものはすべての人に行き渡るほど豊かにある。

そのため、解釈として、これは「引き寄せの法則」についての本であるという点には、同意できます。

それどころか、「イメージの刷り込みが十分に行われると、周囲の人間から無意識的な強力が得られるようになる」とするところなどは、「引き寄せの法則」についての深い理解から得られた考えだと言えるでしょう。

以上のことから、「引き寄せの法則」とはいかなるものか知りたくて、かつ、お金を稼ぐことにも興味がある方には、それなりに、お勧めできる本です。

それなりにと書いたのは、それでもやはり、「宇宙一元論」を基礎としており、その考え自体がかなり受け入れがたい内容になっているからです。

ただし、「宇宙一元論」については、「引き寄せの法則」の元になっているともいえるニューソートの基本的な考え方ですから、たとえ誰が書いたものであっても、多少の影響は感じられるだろうとも思います。

 

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