
英語版ハフポストの記事に、「引き寄せの法則の科学的証拠はあるのか」についての記事があったため情報共有します。
証拠(?)が4つほど挙げられているので、順番に説明していくことにしましょう。
もくじ
①伝染する行動:ミラーニューロンの働き

一つ目の証拠として、ミラーニューロンの働きについて説明がなされています。
ミラーニューロンについては、このサイトでもすでに記事を書いておりますので、詳しくはそちらをご参照ください。
簡単に説明すると、「他人がある行動をするのを見ると、それを見た側の脳の中でも、その行動をしたときと同じ脳細胞が活性化される」というような話です。
例えば、「誰かがコップを持ち上げるところを観察すると、見ている側の人の脳の中でも、コップを持ち上げるときと似たような反応が一部で起きる」ということです。
「あくびが伝染る」というのは、経験的によく知られている現象です。
これはどは、「人があくびをしたのを見ると、自分の脳の中でもあくびをしたのに、いくらか近い状態が再現され、そのせいであくびが誘発される」という具合に解釈できます。
つまり、ミラーニューロンの働きによるものと予想されるわけです。
なんであれ目にしたものは、一部とは言え、自分の脳の中でもシミュレートされ、自分にとって馴染みのものになります。
これが行動を促し、実現を引き寄せると考えられるという風に言えそうだ、というような話です。
②伝染する感情:恐怖についての扁桃体の反応

他人の恐怖する顔を見ると、自分の中でも恐怖が引き起こされることが、脳の扁桃体の変化を観察することで分かったということが、紹介した記事で書かれています。
扁桃体というのは、快不快の感情と強く結びついた脳の部位です。
興味深いのは、脳が損傷して人間の顔を認識することができなくなってしまった人でも、恐怖した人の画像を見ることで扁桃体が反応するということが確認されている点です。
つまり、この反応は「極めて無意識的なもの」であることが言えることになります。
ここから、「恐れている人は周囲の人の恐れを引き寄せ、不安な人は同じように不安を引き寄せる」と言えそうだという話になるわけです。
③「意図と行動」のつながり

「痛みなどの感情 に注意を向けると、その感情を悪化させる可能性がある」という話が紹介されています。
おそらく論文としては、この辺りが関係するかと思います。
内容としては、「運動をするときにその辛さに意識向けると、辛さをより感じるようになる」というようなものです。
「引き寄せの法則」風に表現すると、「痛みをイメージすると、より以上の痛みを引き寄せることになる」ということになるでしょうか。
このように「嫌なことを意識すると、より嫌なことが起こりやすくなる」というのは、引き寄せの法則の本でよく見られる表現であり、科学的に証明された論文の内容と合致するとういわけです。
④「注意と行動」のつながり

上記3の結果から、意識を向けるものが、行動を促す結果にもつながるという意味合いのことが言えます。
先の例で言えば、「運動の際に辛さに意識を向けている人よりも、そこから意識を逸した方が楽に運動をできる」ということになりそうです。
そのような考えから、「運動の辛さより、その成果としてスポーツで好成績を納めることに意識を向けた方が、成功する確率は上がりそうだ」と予想されることになります。
言葉を換えると、「イメージすると成功を引き寄せることができる」という具合になるかもしれない、という具合になるでしょうか。
まとめ

以上のように、「引き寄せの法則」の科学的証拠として挙げられているものは、決して「宇宙の法則が、そうなっている」という類いのオカルト的な内容のものではありません。
そうではなく「人間の無意識的な反応によって、周囲の人が感じているものや自分が意識を向けたものが、自然と実現し、引き寄せられる」ということが観察・確認されたといった意味合いのものです。
これは、当サイトで考察してきた内容と合致するものだと言えます。
このような知見は、「昔から感覚的・経験的に知られてきたものが現代の脳科学や心理学の実験などによって明らかにされてきたもの」と考えられるかと思います。
古くからの言い伝えのようなものが、後になって科学的に証明されたという例は、数多くあるものです。
「引き寄せの法則」についても、今後、より多くのことが確認されてくるものと期待できるのではないでしょうか。
補足の解説

会員様向けに、少し補足をしておきたいと思います。
今回の話の重要なポイントは、「無意識の反応は勝手に起こるのだけれども、何に関して起こるのかは意識的にコントロールできる」という点です。
一度、何かを視界に入れたり意識したりしてしまえば、そこから始まる無意識的な反応は、基本的に止めることができません。
ですから、「何に意識を向けるべきかを上手にコントロールすべし」ということを「引き寄せの法則」は教えているわけです。
難しいのは、人間が危険や不安に意識を余計に向けるような傾向を持っている点にあります。
いわゆる凶悪犯罪は昔に比べると非常に減っているのに、テレビなどでは連日のようにニュースで流されます。
それはつまり、不幸な事件が人の注目を集めることを製作者側が知っているからです。
「痛ましいことだ」と強く意識しなくても、犯罪のニュースなどを聞けば、その情報は無意識的な反応を脳の中に引き起こしてしまいます。
そうした情報に慣れ、自分も事件や事故に会うかもしれないと怯えていれば、少し危険なことが起こったときに「ああ、ついにそのときが来たか!」と感じ、必要以上に警戒することになるかもしれません。
すると、通常であれば避けられたものでも、自ら相手を刺激したり、体をこわばらせることで現実になってしまうこともあるわけです。
これは、いわゆる「予言の自己成就」と呼ばれるものです。
もちろん、もし楽しみにしているのであれば、「テレビをまったく見るな」とまでは言いません。
ただ、「望ましいこと」や「理想的な状態」に意識を向けることも、日常的に忘れずにするようにしてください。